May 2013
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“私は以前、定職のなかったころの最後の六年間ほど、ヴァイオリンの恩師の晩年のお世話をしたことがある。その方は、パーキンソン氏病で施設に入っていた。一応の面倒は施設の人がやってくれるが、こまごまとした買い物とか話し相手には困るので、毎週言われたものを持って通ったものである。
そのすぐ前に、母の看病をしていたので、病人の扱いには慣れていたが、老人の病人はほぼ初めての経験だった。
老人には、昔食べたおいしいものの記憶が鮮明に残っているようで、しばしば申し付かった。戦前のモダン・ボーイらしく、洋菓子の注文が多かった。それも、高円寺のトリアノンのシュークリームが食べたい、というように店の指定つきである。
いまどきシュークリームなどどこにでもある。幸い緑内障で眼も見えないから、適当にごまかしておけばいいようなものであるが、万一見破られた場合、多いに具合が悪いので、結局指定された所までそのつど出向いたものだ。よほど暇だったからできたのだと思う。
ところが、せっかくそうやってお持ちした菓子も、食べてみると思い描いたような味はしない。店の味が変わったというより、先生の身体が、もう受け付けないのである。一口だけ口にして「もういいです」と言われる。こうやって、一つ一つこの世の歓びと決別する場に、私は立ち会うことになった。” —ララビアータ:禁酒月間 (via ginzuna)
そのすぐ前に、母の看病をしていたので、病人の扱いには慣れていたが、老人の病人はほぼ初めての経験だった。
老人には、昔食べたおいしいものの記憶が鮮明に残っているようで、しばしば申し付かった。戦前のモダン・ボーイらしく、洋菓子の注文が多かった。それも、高円寺のトリアノンのシュークリームが食べたい、というように店の指定つきである。
いまどきシュークリームなどどこにでもある。幸い緑内障で眼も見えないから、適当にごまかしておけばいいようなものであるが、万一見破られた場合、多いに具合が悪いので、結局指定された所までそのつど出向いたものだ。よほど暇だったからできたのだと思う。
ところが、せっかくそうやってお持ちした菓子も、食べてみると思い描いたような味はしない。店の味が変わったというより、先生の身体が、もう受け付けないのである。一口だけ口にして「もういいです」と言われる。こうやって、一つ一つこの世の歓びと決別する場に、私は立ち会うことになった。” —ララビアータ:禁酒月間 (via ginzuna)
March 2013
17 posts
“
僕の作品については、非商用の二次創作は無条件に認めます。 立ち読みも回し読みも大歓迎だし、自炊も自炊代行も新古書店での売り買いも漫画喫茶の利用も積極的にしてください。
著作権非親告罪化とか自炊代行訴訟とか違法ダウンロード刑罰化とか全部くだらないです。 誰にも作品を見せたくないなら大事に箱にしまって鍵をかけとけばいいと思います。
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” —漫画家や出版社はお金のない子供たちから漫画を取り上げて何がしたいんだろう?:少年 佐藤秀峰:佐藤秀峰チャンネル - ニコニコチャンネル:エンタメ (via otsune)